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7話 静かに咲くスミレ

مؤلف: hoshくろ
last update آخر تحديث: 2025-12-14 23:55:10

色んな想いが交差し、気がつけば少し冷えてきた。

南との思い出は、忘れる事はなく、思い出す事も普段なかった。

それくらい平穏と平凡に過ごせていた。

明日からまた変わらない一週間が始まる、変わらない休日を過ごし、気持ちの準備を整える、平凡に平穏に仕事をしよう。

またあの人来てくれたらいいな。

その気持ちだけ今までと違った。

そしていつものルーティーンを終え、いつもの仕事をこなす。

「おはようございまーす」

『隼人おはよう』

「週明け仕込み多いですね」

『別に平気だよ』

「早めにこっちの仕事終わらせて手伝います」

『ありがとね』

今日も変わらないスタートに安心する。

決められた誰にでもできる簡単な作業、なぜか今日はいつもより丁寧だった。

「もう秋ですね」

『そうだね、そろそろキノコ使って何かオススメ出さないとね』

「じゃー今日は試食会ですか?」

『そうしようか?まだちゃんと決まってないけど、ゆかりも喜ぶだろうね』

「あいつなんでも喜びそうですよね」

『まぁそれがゆかりの良いところだよ、まぁ焦らずゆっくり一つずつ終わらせて、落ち着いたらやろうか』

「僕も手伝いますね」

『いつもありがと』

今日も変わらないが、当たり前の毎日の中で、いつもより少しだけ幸せを感じようとしてみた、あの人にまた会えるかも知れないと言う気持ちからなのか、それは自分にも分からなかった。

「おはよーーございまーす」

『はいおはよ』

「あれ?仁さん少し機嫌良さそう?」

『なんにもかわらないよ?ゆかりの方こそ何か良い事あった?』

「えっ!?わかりますー??良い感じの人とうまく行きそうで!」

『そっか、またゆっくり聞かせてもらおうかな』

「あっ、あんまり興味あるなさそうなんですけど」

『そんな事ないよ』

「いいから、早く準備しろよ」

「はいはいー」

呆れた顔で隼人はこちらを見ているが、微笑ましい限りだった、そして何よりも平穏なこの空間や雰囲気は、大切な物で間違いない。

取り繕うだけでなく、ここにいる自分は穏やかで、気がつけば知らぬ間に自分らしくいられているのかも知れない、二人には感謝している。

こんな自分でも良いのかと迷いながらも、こうして過ごせてる毎日にも。

『今日もいくよ、頑張ろう』

そう言って始まった営業も悲しいか嬉しいか特に何事なく過ぎていく、これで良くて、これが良い毎日の繰り返しの中で、自分だけの密かな幸せをかみしめる。

「つかれたー」

「そんなに忙しくなかったけど、週初めって疲れるよねー」

『二人ともありがとう』

「不思議なんですけど兄さん毎日いつも通りなんですか」

「確かにーなんかずるい」

『そうかな?疲れてるよちゃんと、それに二人のおかげで楽できてるんだよ、いつもありがとう』

毎日毎日の事が当たり前になってくと、疲れる事もあまりなくなってくるものだ、それに自分のペースでやれてる分楽なんだろう。

こんなに自分が楽で来る事も、きっと自分だけの力では無く、二人が頑張ってくれてるからだろう、毎日の些細な事に感謝をして行こうとなぜか思った。

今まで、こんな事を深く考えることはあまりなかったが、ここ最近はそんな風に思える事が小さな幸せになりつつある。

薄っぺらい笑顔と、適切すぎる言葉遣い、相手の気持ちを汲み取る事も、しなくてもこう言う幸せは以外と近くに転がっているのかも知れない。

「そういえば試食会の準備できなくないですか?」

隼人に言われて思い出す。

『あっ、すっかり抜けてたね』

「えっ私聞いてないんだけだけど」

「別に言ってないからね」

「感じ悪過ぎない?」

「いつもだろ笑」

『ごめんごめん、隼人とゆかりに内緒でやってあげよって話してたんだ、オレがすっかり忘れてたよ』

「仁さん謝る事ない!隼人にムカつく!」

『隼人やめてあげなよ笑』

「あっ仁さんまで笑ってる!やっぱり二人ともムカつく!」

『ごめんごめん、なんだか楽しくてさ、ついつい笑っちゃった、二人とも仲良いね』

気がつけばこんなくだらない会話を自分も一緒になってしている、これでいい、これがいい、

『二人ともいつも本当にありがとう』

「何が!?」

「何がですか?」

『なんでもないよ、今日は準備できなかったけど、今週末試食会しようかどう?』

「それで手を打ちましょう!」

「それありですね」

『それまでとりあえず頑張ろうか』

少しだけ週末が楽しみだった。

二人との時間も、もしかしたらまた週末にあの人が来るのではないかと少しの期待があったのだろう。

自分でも分からなかった所を、もしかしたらゆかりはなんと無く察したのだろうか、来て欲しい気持ちと、何を話そうか、こんな自分が名前を聞いて良いものなのか、むず痒い感情と、この気持ちが何なのかを確かめたい感情が交差する。

何か変われたのだろうか、変われるのだろうか、自分らしく真っ直ぐで居ても迷惑じゃないだろうか、時間が過ぎるのが早くなる。

あっという間に週末を迎える、忙しなく流れる時間の中で、誰しもが毎日何かを感じながら一人一人違う毎日を過ごしているのだろう。

食べに来てくれる人達の見送る時度に考えさせられる。

「仁さーん今日は試食会ですよね?」

『そうだよ、色々考えてきたよ』

「兄さん何か手伝います?」

『いや、いいよ色々試してみたい、二人は食べる専門でお願い』

「やったーー、専属シェフって事?」

「お言葉に甘えてそうします」

『まっててね』

頭の中を整理して、思い描く料理を作る時はいつも無心になれるし、余計な考え事などせず没頭出来る時間はいつもここだけだ。

弱火からオリーブオイルで椎茸焼き目をつけて、火が通り過ぎないように一度上げる。

ベーコンに火を通し、その油でみじん切りのニンニクに火を通し、香りが立ったらエリンギ、しめじ、マイタケを加えて少し強火で火を通す。

火を止め、椎茸と合わせる。

アクセントにあまり無いが、少しの辛さも足したいからアレンジを加える、鷹の爪を少しだけ入れてみた。

クリームソースを加え、茹で上がったパスタと和える。

最後に黒胡椒とチーズ振りかけ、レモンを一絞り。

なんて事ないただのクリームパスタだが、

味には自信があった。

バターと小麦を弱火で良く混ぜて、少しずつ牛乳を加えていく、かたまり加減と塩胡椒の加減が絶妙なベシャメルソースを作る。

新鮮な牡蠣の蓋を外し、ベシャメルソースとほうれん草にキノコ類を乗せて、オーブンへ。

牡蠣のグラタンもなんと無く思いつた。

試食会はいつもこんな適当な感じで、あらかたの基盤を作り、常連さんが飽きない工夫をしていく。

細かい部分その都度合わせて変えていくのが、難しいが、それが楽しい事の一つでもあった。

「すごい良い匂いだー」

「流石にお腹空いてきました」

『素直に意見してね、乾杯しようお疲れ様」

食べ始めてから二人の顔は嘘もなく嬉しそうで、その顔を見るのが嬉しかったりした。

立ちこめるクリームとキノコの匂いに、チーズとワインがよく合う。

『どうかな?』

「めっちゃ美味しい!」

「なんだろう、いつものクリームソースパスタより美味しいです!」

素直に嬉しかった、こうやって自分が作ったものを美味しいと言われる事は自分にとっては幸せそのものであると実感し、唯一自分を表現できる事だった、毎日色んな人達に喜んでもらえてる時、少しだけでも自分を肯定してあげても良いのではないかと思う。

『おすすめで出せそうかな?』

「兄さんこれいけますよ」

「くどくないし、少しの辛みが癖になる!」

『ありがとう、なら来週からやろう、隼人にあらかたベースは教えるね、ゆかりには黒板に書いてもらね』

こう言った些細な幸せを感じながら、色んな人に喜んで貰えたらそれ以上求めてる必要もないのかも知れないが、あの人がこれを食べた時どんな顔するのか、どんな言葉をするのか、それが知りたい。

少しだけわがままになっても良いのだろうか悩みながらも、あの人を想い作ったこの料理はきっと他の料理達よりも美味しいはずだった。

あの人は、いまどこで何をしてるだろう、考えるだけで心が躍り、早くあの人に作ったこれを、食べて欲しい気持ちが前のめりに動いていた。

「兄さんいつも美味しいご飯ありがとうございます」

「仁さんいつもご馳走様」

『二人ともいつも本当にありがとう』

こんな毎日が最近ではちゃんと幸せだと感じられる、二人に感謝は忘れられない、こんな平穏で平凡な毎日をくれてありがとう。

誰にも気づかれなくても

確かにそこに在り続ける

幸せがわからなかった日々の中で

ふと見つけた小さな紫色が心を少し

温めてくれる

控えめで儚く

それでも確かな理由になるほどの幸せが

今日も足元に咲いているスミレの様だった。

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  • ランノハナガ咲く頃に   2話 色褪せないスターチス

    あなたは子なのよ」 その言葉は幾つになっても、自分の心を縛り付けていた。 幼い頃に言われ続けて来た呪いの言葉だ。 『またこの夢か...』ため息と同時に魂までも抜けていく様な胸糞悪さに目が覚める。 拠り所など無く、助けてを求める声すら上げる事もできなかった思い出したくもない過去。 自分の気持ちを押し殺し、否定や拒絶は良くない事だと思って居た。 何も無く生きてる事が、死んでる事と何ら変わりなかった。 周りに合わせ、楽しい事を楽しいと、悲しい事は悲しいと合わせる、どんな事にも文句ひとつ言わずに耐え忍ぶ事が、だと思って居た。 変わりたいと強く思えば思う程に、過去の過ちに引きずり込まれる。 いつか自分も、心から楽しいと思える日がくると願いつつ、自分を変えるのは、自分しか居ないと知っているのに、それは難しい事と諦めてる自分がいた。 花凛に出会い、花凛との全てが特別になるまでは、が温かい物だと思うことを恐れてた。 何も特別感じる事も無くなった、冷めた心が動き出し、自分の心さえも大切にしたいと思える様になった。 心から人を思う事がと花凛が笑顔で居てくれれそれだけでいいと。 それらを乗り越えるために向き合う事が出来る事が本当のなのかもしれないと。 いい子であろうと努力した。 そのおかげか、両親や周りの目を気にし、人の機嫌を取ることばかり長けて行き、偽りのは、いくらでもばら撒く事ができていた。 毎日ゴミ箱の様に様々な言葉を吐き捨てられ、文句一つ言えば、それ以上の攻撃を受け、弱い自分では反抗もできず、ただただ溢れないように押しつぶしてきた。 一人泣きながら夜が明けるのを待つ日は、いつしか日常の一部になり、生きてる意味すら見つけられなかった。 生に執着もなくなり、幾度と神様に殺してくれと願った所で、なにも変わらず、一人で死ぬ事ばかり考え、何かと嫌な事があるとそういう時ほど笑顔でいる事が上手になっていた。 周りを伺い、程よく笑顔で相槌を打ち、人の気持ちを汲み取りながら馴染んでいく、協調性を大切に人に不快な思いをさせない。 大人になり、それがそれなりに役には立っているのなら、そんなに悪くないのだろう。 その思想こそが、願われてた事なのだろうか。 学生時代の立ち回りもそこそこ 一般的な事は

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